トリノスケール (英語: Torino Scale) は、地球近傍天体 (NEO) に分類される小惑星や彗星が地球に衝突する可能性のある確率、および衝突した際に予想される被害状況を11段階の尺度で示した指標である。「0」から「10」までの11段階のレベルと色付けによって区分され、主に地球への天体衝突の危険性について監視を行っているコミュニティによる一般への情報伝達を容易にすることを目的としている。衝突の確率と衝突に伴う事象の影響度を反映しているが、天体が衝突するまでどれほどの期間があるのかについては考慮していない。
トリノスケールにおいて下から2番目の「1」と評価される地球近傍天体の小惑星は年に何回かの頻度で発見されているが、ほとんどの事例において詳細な観測が行われることで小惑星の軌道の予測が正確になり、最終的に地球へ衝突する可能性が完全に排除されることでトリノスケールによる評価の対象外となる。
概要
マサチューセッツ工科大学の教授であるリチャード・ビンゼルにより提案され、1999年6月にイタリアのトリノで開催された国際天文学連合の会議で採択された。ビンゼルは後に、1990年代初頭頃には、トリノスケールの考えに繋がる小惑星の衝突に対する警戒システムの開発について考えていたと述べている。
トリノスケールで「1」と評価された小惑星の発見に対する過剰報道などを考慮し、2005年には各レベルごとにさらに相応しい説明文となるように改訂された。特に改訂前のトリノスケール「1」では「注意深く観測するに値する事象 (Events meriting careful monitoring) 」だったが、改訂後は単なる「普通 (Normal) 」になった。
これまで実際に適用されたことのある最高のレベルは、 (99942) アポフィスの2029年の地球への接近において2004年に一時的に適用された「4」である。しかし、その後の観測で軌道がより精査された結果、(99942) アポフィスがこの接近で潜在的な地球への衝突確率は大幅に低下することになり最も低い「0」へ格下げされた。また、これに次ぐ「3」に分類された事例としては2024年末に発見された 2024 YR4 があるが、こちらもその後に「0」へ格下げされている。
階級表
トリノスケールは、リスクの低い順から白、緑、黄、オレンジ、赤と色でも表される。各色とレベルは以下のような意味を持つ。
出典
関連項目
- 隕石衝突
- 潜在的に危険な小惑星
- パレルモスケール
- 隕石衝突の階級 - 隕石衝突時の災害スケール




