『大和絵つくし』(やまとえづくし)は、菱川師宣による絵本で、『伊勢物語』や『源氏物語』などから古代中世の故事・伝説・説話を題材に絵解きした全20図が描かれている。
概要
巻末の刊語に「大和絵師菱川吉兵衛尉」とあり、師宣の絵の鑑賞を目的に刊行されたものである。初刻本は延宝8年(1680年)5月に版元鱗形屋三左衛門より刊行され、その後天和3、4年(1683年-1684年)頃に再刻版が出されている。この時期多数の再刻版が出されていることは火災等によって鱗形屋の版木が焼失した可能性を示唆しており、時期的にみて天和2年(1682年)12月28日の「天和の大火」の発生時期と符合する。さらに貞享3年(1686年)9月には別刻本も京都の版元服部久兵衛より刊行された。
評価
菱川師宣の風俗絵本の様式確立を示す記念碑的作品との評価がある。
作品一覧
以下は国立国会図書館所蔵の初刻本、筆彩は後補である。
出典
参考文献
- 浅野秀剛『菱川師宣と浮世絵の黎明』東京大学出版会、2008年11月28日。ISBN 978-4-13-080210-9。OL 23220764M。 , Wikidata Q122962116
- 阿美古理恵『菱川師宣 ― 古風と当風を描く絵師 ―』藝華書院、2020年3月26日。ISBN 978-4-904706-08-4。 , Wikidata Q122962066
- 山口桂三郎; 浅野秀剛「原色 浮世絵大百科事典 第六巻」『原色 浮世絵大百科事典』第6巻、大修館書店、1982年1月10日。 , Wikidata Q123036722
- 鈴木淳『菱川師宣絵づくし考』2015年5月26日。doi:10.24619/00000959。 , Wikidata Q123032642
関連項目




