ウクライナ陸軍

ウクライナ陸軍（ウクライナりくぐん、ウクライナ語: Сухопутні війська України）は、ウクライナの陸軍。ウクライナ軍の軍種のひとつである。

概要

旧ソ連軍のキエフ軍管区、オデッサ軍管区等の部隊を継承した。2005年末の時点で、総員9万7千人（内、軍人7万8千人）。戦車×732両、装甲戦闘車両×1,713両、戦闘ヘリ×106機、火砲（100mm以上）×1,298門を保有する。冷戦時代のソ連地上軍に倣い、ウクライナ地上軍と呼ばれることもある。

2022年ロシアのウクライナ侵攻に伴い、西ヨーロッパ諸国などから多数の兵器の供与を受けたこと、ロシア連邦軍の戦車などを鹵獲したことなどから多様、多種な兵器を運用することとなった。 一方、ウクライナ軍の地上部隊後方支援司令官は、2022年6月15日付の米軍事専門誌とのインタビューで、ロシア軍との消耗戦の中で歩兵戦闘車約1,300台、戦車約400両、ミサイル発射システム約700基など、それぞれ最大で50％を失ったことを明らかにしている。

兵科

• 機械化歩兵（Механізовані війська）
• 戦車兵（Танкові війська）
• 山岳兵（Гірська піхота）
• ロケット・砲兵（Ракетні війська і артилерія）
• 陸軍航空隊（Армійська авіація）
• 防空兵（Війська протиповітряної оборони）

組織

ウクライナ陸軍は、西部、北部、東部、南部の4個作戦管区と陸軍司令部直轄部隊、3個軍団で構成される。また4個作戦管区には、領土防衛隊からそれぞれ5個から8個旅団相当の部隊が充足される。

陸軍司令部直轄部隊

• 独立大統領旅団（キーウ）
• 第5陸軍特別通信指揮ポスト
• 第96衛星電波傍受センター
• 第148情報コマンドセンター（キーウ）
• 第169機動修理技術基地
• 第3568対空技術ミサイル基地
• 第1004独立保安大隊（キーウ）

陸軍司令部直属のロケット兵・砲兵部隊

• 第15独立砲兵偵察旅団（リヴィウ州・ドロホブィチ） - 9K58 スメーチ
• 第19ミサイル旅団（フメリニツキー州・フメリニツキー） - 9K79-1 トーチカ-U
• 第27ロケット砲兵旅団（スームィ州・スームィ） - 9K57 ウラガン、HIMARS
• 第43独立砲兵旅団（ポルタヴァ州・ピリャチン） - 2S7 ピオン
• 第107ロケット砲兵旅団（ポルタヴァ州・クレメンチューク） - 9K58 スメーチ

第8陸軍航空司令部（陸軍航空隊）

• 第11独立陸軍航空旅団（ヘルソン州・チェルノバエフカ空軍基地） - Mi-24P/VP、Mi-8MT/MTV
• 第12独立陸軍航空旅団（リヴィウ州・ノビ・カリニフ） - Mi-24V/P/VP/R/K、Mi-8MT/MTV-2、Mi-9、Mi-26
• 第16独立陸軍航空旅団（リヴィウ州・ブロディ空軍基地） - Mi-24P/VP、Mi-8MT/MTV
• 第18独立陸軍航空旅団（ポルタヴァ州・ポルタヴァ空軍基地） - Mi-24P/VP、Mi-2MSB、Mi-8MT/MSB-V

西部作戦管区

1998年に、旧ソ連陸軍から引き継いだ沿カルパチア軍管区を再編して設立。

• 西部作戦管区司令部（リウネ州・リウネ）
• 第10独立山岳強襲旅団（イヴァーノ＝フランキーウシク州・コロミア）
• 第14独立機械化旅団（ヴォルィーニ州・ヴォロディームィル）
• 第15独立機械化旅団
• 第24独立機械化旅団（リヴィウ州・ヤーヴォリウ）
• 第65独立機械化旅団（リヴィウ州・スタリチ）
• 第68独立猟兵旅団（イヴァーノ＝フランキーウシク州・イヴァーノ＝フランキーウシク）
• 第128独立山岳強襲旅団（ザカルパッチャ州・ムカチェボ）
• 第141独立歩兵旅団（リウネ州）
• 第150独立機械化旅団（ヴォルィーニ州）
• 第155独立機械化旅団（リウネ州）
• 第44独立砲兵旅団（テルノーピリ州・テルノーピリ）
• 第39独立高射ミサイル連隊（ヴォルィーニ州・ヴォロディームィル）
• 第55独立通信連隊（リウネ州・リウネ）
• 第146独立修理連隊（リヴィウ州・ゾーロチウ）
• 第703独立支援連隊（リヴィウ州・サンビル）
• 第130独立偵察大隊（リウネ州・ドゥブノ）
• 第650独立高射機関銃大隊
• 第101独立領土防衛旅団（ザカルパッチャ州）
• 第102独立領土防衛旅団（イヴァーノ＝フランキーウシク州）
• 第103独立領土防衛旅団（リヴィウ州）
• 第104独立領土防衛旅団（リウネ州）
• 第105独立領土防衛旅団（テルノーピリ州）
• 第106独立領土防衛旅団（フメリニツキー州）
• 第107独立領土防衛旅団（チェルニウツィー州）
• 第125独立領土防衛旅団（リヴィウ州）

北部作戦管区

• 北部作戦管区司令部（チェルニーヒウ州・チェルニーヒウ）
• 第1独立戦車旅団（チェルニーヒウ州・ホンチャリスキ）
• 第5独立強襲旅団
• 第11自動車化歩兵旅団（チェルニーヒウ州）
• 第30独立機械化旅団（ジトーミル州・ノヴォフラード＝ヴォルィーンシキー）
• 第31独立機械化旅団（ジトーミル州）
• 第32独立機械化旅団
• 第44独立機械化旅団
• 第62独立機械化旅団（ジトーミル州・ベルディチフ）
• 第72独立機械化旅団（キーウ州・ビーラ・ツェールクヴァ）
• 第143独立歩兵旅団
• 第152独立猟兵旅団
• 第153独立機械化旅団
• 第26独立砲兵旅団（ジトーミル州・ベルディチフ）
• 第49独立砲兵旅団
• 第1129独立高射ミサイル連隊（キーウ州ビーラ・ツェールクヴァ）
• 第5独立通信連隊（チェルニーヒウ州・チェルニーヒウ）
• 第12独立支援連隊（ジトーミル州・ズヴィアヘル）
• 第50独立修理連隊（ジトーミル州・ホイヴァ）
• 第6独立特務分遣隊
• 第211独立特務大隊（スームィ州・スームィ）
• 第54独立偵察大隊（ジトーミル州・ノヴォフラード＝ヴォルィーンシキー）
• 第134警備支援大隊（チェルニーヒウ州・チェルニーヒウ）
• 第633独立高射機関銃大隊
• 第635独立高射機関銃大隊
• 第112独立領土防衛旅団
• 第114独立領土防衛旅団
• 第115独立領土防衛旅団
• 第116独立領土防衛旅団
• 第117独立領土防衛旅団
• 第118独立領土防衛旅団
• 第119独立領土防衛旅団
• 第241独立領土防衛旅団

東部作戦管区

• 東部作戦管区司令部（ドニプロペトロウシク州・ドニプロ）
• 第17独立戦車旅団（ドニプロペトロウシク州・クルィヴィーイ・リーフ）
• 第23独立機械化旅団（ドネツィク州・ポクロウシク）
• 第43独立機械化旅団（ドニプロペトロウシク州・ドニプロ）
• 第53独立機械化旅団（ルハーンシク州・セヴェロドネツィク）
• 第54独立機械化旅団（ドネツィク州・バフムート）
• 第92独立強襲旅団（ハルキウ州・クルヒノ・バシキリフカ）
• 第93独立機械化旅団（ドニプロペトロウシク州・チェルカスケ）
• 第142独立歩兵旅団
• 第151独立機械化旅団
• 第55独立砲兵旅団（ザポリージャ州・ザポリージャ）
• 第633独立高射機関銃旅団
• 第1039独立高射ミサイル連隊（ドニプロペトロウシク州・グヴァルディスコエ）
• 第121独立通信連隊（ドニプロペトロウシク州・チェルカスケ）
• 第91独立支援連隊（スームィ州・アフトゥイルカ）
• 第532独立修理連隊（ドニプロペトロウシク州・チェルカスケ）
• 第425独立突撃連隊（ドニプロペトロウシク州・ドニプロ）
• 第74独立偵察大隊（ドニプロペトロウシク州・チェルカスケ）
• 第129独立偵察大隊（ドネツィク州・ニコルスケ）
• 第461独立高射機関銃大隊
• 第502独立電子戦大隊（ドニプロペトロウシク州・チェルカスケ）
• 第108独立領土防衛旅団
• 第109独立領土防衛旅団
• 第110独立領土防衛旅団
• 第111独立領土防衛旅団
• 第113独立領土防衛旅団
• 第127独立領土防衛旅団
• 第128独立領土防衛旅団
• 第129独立領土防衛旅団

南部作戦管区

1998年に、旧ソ連陸軍から引き継いだオデッサ軍管区を再編して設立。

• 南部作戦管区司令部（オデッサ州・オデッサ）
• 第14独立戦車旅団
• 第21独立機械化旅団
• 第22独立機械化旅団（ムィコラーイウ州・ミハイリウカ）
• 第28独立機械化旅団（オデッサ州・チェルノモルスコエ）
• 第41独立機械化旅団（オデッサ州・オデッサ）
• 第42独立機械化旅団（テルノーピリ州・チョルトキウ）
• 第56独立自動車化歩兵旅団（ドネツィク州・マリウポリ）
• 第57独立自動車化歩兵旅団（ヘルソン州・ノヴァ・カホウカ）
• 第59独立自動車化歩兵旅団（ヴィーンヌィツャ州・ハーイスィン）
• 第144独立歩兵旅団
• 第154独立機械化旅団
• 第159独立機械化旅団
• 第40独立砲兵旅団（ムィコラーイウ州・ベルポマイスキー）
• 第38独立高射ミサイル連隊（オデッサ州・チェルノモルスコエ）
• 第7独立通信連隊（オデッサ州・オデッサ）
• 第16独立支援連隊（ザポリージャ州・セミニフカ）
• 第145独立修理連隊（ムィコラーイウ州・ムィコラーイウ）
• 第131独立偵察大隊（ヴィーンヌィツャ州・グシュチンツィ）
• 第143独立偵察大隊（ムィコラーイウ州）
• 第632独立高射機関銃大隊
• 第644独立高射機関銃大隊
• 第120独立領土防衛旅団
• 第121独立領土防衛旅団
• 第122独立領土防衛旅団
• 第123独立領土防衛旅団

第9軍団

• 第9軍団司令部（ヴォルィーニ州・ルーツィク）
• 第3独立強襲旅団
• 第4独立戦車旅団（チェルニーヒウ州・ホンチャリスキ）
• 第47独立機械化旅団（キーウ）
• 第58独立自動車化歩兵旅団（スームィ州・コノトプ）
• 第67独立機械化旅団（ドニプロペトロウシク州・ドニプロ）
• 第47独立砲兵旅団（ハルキウ州・ハルキウ）
• 第150独立偵察攻撃大隊
• 第474独立警護大隊
• 第92独立工兵大隊
• 第81独立管理大隊
• 第228独立兵站大隊
• 第474独立防護整備大隊
• 第182独立訓練大隊

第10軍団

• 第10軍団司令部（ポルタヴァ州・ポルタヴァ）
• 第5独立戦車旅団（ドニプロペトロウシク州・クルィヴィーイ・リーフ）
• 第33独立機械化旅団（リウネ州・リウネ）
• 第100独立機械化旅団（ヴォルィーニ州・ヴォロディームィル）
• 第115独立機械化旅団（チェルカースィ州・ブラゴダトネ）
• 第116独立機械化旅団（リヴィウ州・リヴィウ）
• 第117独立機械化旅団（スームィ州）
• 第118独立機械化旅団
• 第48独立砲兵旅団
• 第12独立戦車大隊（チェルニーヒウ州・ホンチャリスキ）
• 第151独立偵察攻撃大隊（ドニプロペトロウシク州・パウロフラード）
• 第229独立兵站大隊

第11軍団

• 第11軍団司令部（リウネ州・リウネ）
• 第3独立戦車旅団（フメリニツキー州・ヤルモリンツィ）
• 第60独立機械化旅団
• 第61独立機械化旅団
• 第63独立機械化旅団（フメリニツキー州・スタロコスチャンティノフ）
• 第45独立砲兵旅団（リヴィウ州・ヤーヴォリウ）

訓練・教育機関

• 第270戦闘シミュレーション師団（キーウ州・キーウ）
• ペトロー・サハイダーチヌイ名称記念陸軍士官学校（リヴィウ州・リヴィウ）
  • 第184訓練センター（リヴィウ州・スタリチ）
    • 訓練戦車大隊
    • 第355訓練機械連隊
    • 第356訓練砲兵連隊
    • 第49独立偵察訓練センター
      • 偵察兵の訓練を担当。
    • 第138訓練兵站大隊
    • 訓練工兵大隊
    • シミュレーションセンター
    • 消防専門訓練・再訓練学校
• ヘーチマン・サハイダーチヌイ名称国立陸軍アカデミー下士官学校（リヴィウ州・リヴィウ）
• オデッサ陸軍士官学校（オデッサ州・オデッサ）
• 第169訓練センター（チェルニーヒウ州・デスナ）
  • 第300訓練戦車連隊
  • 第354訓練機械化連隊
  • 第718独立訓練車両大隊
  • 第507独立訓練整備修理大隊
  • 第197下士官訓練センター
  • 第205訓練センター
    • 衛生兵の訓練を担当。
  • 第33演習場
• 第201訓練センター（フメリニツキー州・カームヤネツィ＝ポジーリシクィイ）
  • 工兵およびNBC防護兵の訓練を担当。

装備

機種並びに種別記号は『ミリタリーバランス』各号に依るため、公称類別と異なることに留意。

表中の「○」は配備情報のみで数量記載なし、「ε」は概数、「 」は記載数以上の保有を意味する。

装甲戦闘車両

補筆

• M1エイブラムス戦車

アメリカの援助により2024年以降配備・実戦参加が確認されている（ミリタリーバランス2024の編集には間に合わなかった）。

工兵・支援車両

対戦車火器

砲兵

ミサイル発射機

無人機

回転翼機

対空火器

歴代司令官

画像

兵士

装備

脚注

出典

関連項目

• ウクライナ軍
  • ウクライナ海軍
  • ウクライナ空軍
  • ウクライナ国内軍
• ロシア陸軍
• ソ連地上軍

外部リンク

WEBサイト

• ウクライナ国防省公式サイト（ウクライナ語）（英語）

SNS

• ウクライナ陸軍 - YouTubeチャンネル
• ウクライナ陸軍 (@DefenceU) - X（旧Twitter）